「看取り犬」という存在をご存知でしょうか。
現在、全国に唯一1カ所、ペットと暮らせる特別養護老人ホーム「さくらの里山科(やましな)」が神奈川県横須賀市にあります。本書は、そこで暮らしている犬や猫たちと入居者の絆が起こした小さな奇跡の物語です。
書名に登場する柴犬系の雑種で元保護犬の文福は、驚くべき才能で入居者を看取り、ポメラニアンのチロは余命3カ月の末期がんで入居した伊藤さんと一緒に“老春(ろうしゅん)”(高齢者が青年のように若々しくしていること)を生きる。そんな“本当に起きている”物語が15の短編で綴られています。
大好きな犬や猫と一緒に過ごすことが癒しとなり、最高の治療にもなり得るそう。これからの日本の超高齢社会において、人間とペットの在り方を考えさせられる一冊です。(永井)